アラサーニートの雑記帖

アラサーニートが感じたことや日々の出来事などを綴る雑記ブログです。

【漫画】小花 美穂『こどものおもちゃ』を思い出と共に紹介します

今回も前回に引き続き、思い出の漫画を紹介します。

今回紹介するのは、前回の記事でタイトルを出していたのですが、小花美穂さんの『こどものおもちゃ』です。

本作のヒロインの紗南ちゃんは子役なので、前回の『ハンサムな彼女』と芸能界という点で繋がりがありますね。

ただし、『ハンサムな彼女』のように主要人物が皆がっつり芸能人というわけではなく、子役をやっている紗南ちゃんと周囲の出来事、という感じで、芸能界漫画というわけではありません。

芸能界の絡みもある学園青春ものといったテイストの漫画です。

 

小花 美穂『こどものおもちゃ

少女漫画誌「りぼん」で1994年~1998年にわたり連載された、小花美穂さんによる作品。

子役の倉田紗南を中心に、コメディタッチの面白さを存分に取り入れつつ、社会問題に踏み込んだシリアスな内容を取り扱った名作。

『こどちゃ』の愛称で親しまれ、テレビアニメ化もされた人気作品です。 

 

あらすじ

小学6年生の倉田紗南は、バラエティ番組にレギュラー出演し、ドラマなどでも活躍する売れっ子子役。

そんな紗南にはクラスに天敵がいた。男子を牛耳り、クラスを学級崩壊状態に追い込んでいるボス猿・羽山秋人である。正義感の強い紗南は、羽山と真っ向から対立し、羽山の方は紗南に苦手意識を持ち避け続けていた。

しかし、なんとか羽山を改心させたい紗南は、羽山をストーキング。彼の家庭環境に原因があることをつきとめる。

紗南の働きかけにより家庭の雰囲気も変わり、羽山も徐々に心を開き始める。

 

こどものおもちゃ』の思い出や魅力

こどものおもちゃ』は私が大好きな漫画の1つです。

(完全版で全巻買い揃えてしまいました。)

明るく可愛い紗南ちゃんに、クールで優しい羽山。

複雑な人生に、一生懸命立ち向かう二人が元気をくれます。

 

徹底したギャグとシリアスなストーリー

この作品の大きな魅力は、そのギャグの徹底振りと、それに反してシリアスなストーリー展開にあります。

作品は全体的にギャグテイストを感じさせます。

紗南ちゃんの破天荒な行動もそうですし、主要人物の一人である紗南の育ての母・実紗子の髪型(黒柳徹子さんのような髪型で、頭のお団子の中でリスを飼っている)など、シリアスシーンでも変更がきかないような部分でも存分に遊びます。

子供も大人もちょっと変わった人物が多く、ツッコミもばんばん入れて、基本的にテンションの高い漫画です。

一方で、学級崩壊や家庭崩壊、捨て子やマスコミ問題などの社会問題の要素を多く取り入れ、主人公二人の複雑な生い立ちや、精神的な問題など、シリアスなストーリー展開を繰り広げます。

様々な問題をしっかり描きながら、漫画として楽しませることを忘れない、複雑な魅力のある作品です。

 

登場人物の魅力

上述の通り、シリアスな問題を多くはらみながらも、明るさを忘れない本作ですが、それもこれも魅力的な登場人物たちのお陰だろうと思います。

まずはなんと言っても紗南ちゃん。

明るく可愛く、強い。素敵な女の子です。

しかし、実はかなり繊細なところもあり、物語終盤ではとある事情から表情が一切なくなってしまう「人形病」という状態に陥ってしまいます。

くるくると表情を変える天真爛漫な姿が魅力的なだけに、この展開にはかなり衝撃を受けました。

そんな繊細さや弱さを抱えながらも、持ち前の明るさや大胆さでどんどんと未来を切り開いていく様は、紗南ちゃんの周囲の人たちはもちろん、読者にも元気をくれます。

次に羽山。

羽山はとりあえずかっこいいの一言です。

はじめこそお山の大将として振舞う悪ガキですが、紗南に心を開いてからは、もともと持っていた優しさを発揮し始めます。

クールぶりながら実は優しく、たまに抜けてる感じとかがまた素敵です。

きっと当時羽山に恋してた女子がたくさんいたはず。私もその一人です(笑)

また、自分自身が複雑な環境に身をおき、痛みを知っているからか、人の痛みにとても敏感で、寄り添うべきところできちんと寄り添える人物へと成長を見せています。

そして大人たちも負けていません。特に紗南の育ての母・実紗子が素敵な人物です。

捨て置かれた紗南のことを実子のように育てています。

困難に直面しても明るく、でも冷静に考え、紗南の成長をしっかりと見守り、サポートします。

また、読者へのメッセージ性としても、この人の変人加減が「普通」にこだわらなくて良い、自分の信じた道を生きることが楽しくて幸せ、と伝えてくれているように思います。

 

「こども」達のための楽しい教科書

本作では様々な問題に加え、性的な事象に関しても言及するシーンがあります。

件の人形病の際、紗南が早く大人になりたくて、羽山にセックスをもちかけます。

これは未遂に終わりますが、今考えると、小中学生向けの少女漫画誌で、まだ中学生であるヒロインの側からセックスを持ちかけるというのは、なかなかすごいなと思います。

しかし、実際に中学生や早ければ小学校の高学年などでも、性やその情報に触れる機会はあります。

そう考えると、「大人になりたくて」セックスをしてみようとする紗南たちの姿と、それからの展開は、実際の同じような子供達に対してのメッセージであるように感じます。

また、そもそもヒロインが捨て子であったり、羽山が母親死別の父子家庭で育っていることなど、大人から見て「りぼん」の読者層には少し早いのではないかと思われるような要素があちこちに見られたりしますが、明るいテイストの漫画の中で展開されることで、読んでいる「こども」達に対して、教科書的役割を果たす意味のある漫画だったのではないでしょうか。

 

おまけ

こどものおもちゃ』には2作、スピンオフ作品があるので紹介しておきます。

1作目は『水の館』。

紗南ちゃんが作中で主演した映画をまるっと別漫画にした作品です。

こちらは私も読みましたが、面白かったです。

ホラー風ミステリーといった感じで、本編とはまた違った雰囲気を楽しめます。

水の館 (りぼんマスコットコミックス (1168))

水の館 (りぼんマスコットコミックス (1168))

 

2作目は『Deep Clear』という作品。こちらは未読です。

小花さんが「Cookie」という雑誌で連載した『Honey Bitter』という作品とのコラボ漫画で、紗南と羽山のその後が描かれているとのこと。

こちらも気になるので、ちょっと探して読んでみようと思います。

Deep Clear―「Honey Bitter」×「こどものおもちゃ」

Deep Clear―「Honey Bitter」×「こどものおもちゃ」

 

 

 

私の中で『こどちゃ』は、明るかったり暗かったりと色々な印象が混ざり合っている漫画で、なかなか説明するのは難しいのですが、一読の価値がある漫画であることは確かです。

笑いながら気軽に読み進めて、いつの間にか心の深いところに落ちてくるような、よく作られた作品だと思います。

いつか自分に子供が生まれたら、ぜひ読ませたいです!