アラサーニートの雑記帖

アラサーニートが感じたことや日々の出来事などを綴る雑記ブログです。

【映画】『グレッグのダメ日記』を見ました

今回は、アメリカの中学校でイケてる中学生を目指す男の子を描いた映画のレビュー記事です。

お酒を飲みながら見ようと思ってAmazonプライムを物色していて、はじめは『探偵はBARにいる』を見たのですが、思いの外バイオレンスな感じで辟易してしまったので、もう間違いなくコメディだろうと思われる作品をチョイスしました。

(『探偵はBARにいる』もちゃんと最後まで見たので、気が向いたら近いうちにレビュー記事を書くかもしれません。)

 

グレッグのダメ日記(2010年 / アメリカ)

アメリカの漫画家ジェフ・キニーによる同名の児童書を映画化した作品。

中学生になったばかりのグレッグが人気者を目指す日々を描いています。

原作はシリーズ化され、世界的に商業的成功を収めており、日本でもポプラ社によって最新の11巻まで全てが刊行されている。

日本では劇場公開がなくDVDのみの販売となっていますが、映画も現在シリーズ第3弾まで製作されている人気作です。

 

あらすじ

中学校初日を迎えるグレッグは、卒業アルバムの「人気者」のページに載るイケてる中学生になることを心に誓っている。

小学生時代からの親友ロウリーはイイ奴だけど激ダサで、中学デビューを目指すグレッグの足を引っ張ってくる。

イケてる中学生は親友もイケてないといけない。ロウリーの服装や振る舞いにも口を挟みながら、あらゆる手段を使って人気者を目指すグレッグ。

果たして彼は無事に人気者になることができるのか。

 

感想

アメリカの学校!という感じの映画でした。(アメリカの学校の実態はわかりませんが・・・)

如実なスクールカースト、カフェテリアでのランチに、ミュージカルのオーディション。

主人公のグレッグはスクールカーストの低位から人気者まで登りつめようと奮闘するのですが、これがなかなか嫌な奴です。

大人目線で見れば、ブラックジョークみたいなノリで楽しいのですが、子供向けで作っているのだとしたらなかなか過激なキャラクター設定だなと感じました。

また、グレッグたちの1学年上で新聞部のクールな女子生徒アンジー役で、『キック・アス』で有名なクロエ・モレッツちゃんが出演していますが、ニヒルな表情が素敵でした。ただ、思ったほど出番はなく、ちょっとしたスパイスといった感じでしょうか。

全体的に大人びた雰囲気のアメリカの中学生ですが、校庭のカビたチーズを巡る「チーズタッチ」の話などは、日本の小中学校でもありそうな雰囲気で、子供らしさを感じることができました。

子供向けと知らずに見ましたが、大人でも充分楽しめるコメディ作品でした。

 

※ここからは作品の核心部分、ネタバレを含みます。ご注意ください。

 

性格の悪すぎるグレッグと純粋で良い奴ロウリーのコンビ

主人公のグレッグは、最初はダサいなりに人気者を目指す、ちょっと自意識過剰な男の子といった感じなのですが、お話が進むに連れて、その性格の悪さが露呈していきちょっとびっくりしてしまいました(笑)

いや、大人向けのコメディ作品なら全然許容範囲なのですが、子供向けを謳っている作品でここまで突き抜けた嫌な奴を主人公に持ってくるというのは斬新に感じました。

どんな感じかというと、基本的にぽっちゃり系でファッション等にかまわない親友のロウリーのことを下に見ていますし、そのロウリーを遊びの途中で骨折させてしまっても謝りもしません。むしろ、ロウリーがその骨折をきっかけに人気者になったことで、僕のおかげで人気者になれた、とすら思っています。さらに、自分の失敗がロウリーのせいだと勘違いされたときも、これ幸いとそれを訂正しないままにしておこうとします。

どうでしょう。なかなかに嫌な奴ではないでしょうか。

それに対して親友ロウリーは、確かに「イケてる」少年ではありませんが、気持ちは優しく、純粋です。そしてとても素直な性格で、実際に骨折を機に得た人気は、その後も変わらないまま、おおらかで素直なキャラクターがクラスに受け入れられていきます。

自作の漫画で学校新聞の漫画担当に応募して選ばれたり、ママと息子のダンスパーティーでノリノリで踊ってみんなを楽しませたり、グレッグが打算尽くしで登り詰めようとしていた位置まで、全く意図することなく、自然と上っていきます。

私のイメージだと、アメリカのスクールカーストだと性格が結構悪くても、容姿やファッションが洗練されていれば序列は上がり、どんなに良い子でもロウリーみたいなタイプの子は人気者にはなれないと思っていたので、ロウリーが順調にステップアップしていたのはちょっと意外でした。(かなり偏見入っててすみません・・・。)

 

「チーズタッチ」と友情の復活

校庭に落ちているカビたチーズを触ると「チーズタッチ」と呼ばれ皆に避けられる。そして「チーズタッチ」でなくなるためには誰かにタッチしないといけない。タッチされた人が次の「チーズタッチ」となる。

そんなどこの学校にもありそうなお話が、グレッグ達の学校にもあります。

ドイツから留学生の子がチーズタッチのまま帰国したことで、グレッグ達の学校のチーズタッチ騒動は一旦収束していました。

一旦はグレッグのあまりの身勝手さに崩壊してしまっていたロウリーとの関係ですが、ラストにかけて、このチーズタッチをきっかけに二人は仲直りを果たすこととなります。

以前グレッグとロウリーが怒らせてしまった卒業生が学校まで乗り込んできて、まずはロウリーにチーズを拾い、食べるように命じます。

抵抗しつつも恐怖のあまり命令に従うロウリー。

再度落ちたチーズを見て誰かがチーズタッチになったことを悟るほかの生徒たち。ロウリーの様子を見て、ロウリーがチーズタッチだという宣言がなされようとしています。

そこでグレッグは「チーズタッチは自分だ」と言い放ちました。

あんなにこだわっていたイケてる人気者になることを捨てて、ロウリーのために自己犠牲をはらったのです。

正直、それまでの悪行がなかなかのものだったので、ここでそこまで感動したりということは私はなかったのですが、ロウリーという大切な友達と仲直りできて、自分が大事にすべきものは何かということに気付いて行動できたのは良かったなと思います。

それまでの嫌な奴路線のままだと、グレッグは恐らくずっと下り坂のままで突き進んでしまっていたと思います。

思春期の早い時点で新しい価値観を得られたことは、彼のこれからの人生にとって、とても大きな意味を持つはずです。

そういう意味では、確かに子供向けの作品だったのかなと今さら思ったりします。

 

 

学校への影響力が強い父を持つ嫌味な女子生徒や、弟を徹底的にからかい、いじめ続けるバンドマンの兄、まだ赤ちゃんながら絶妙な表情で煽ってくる末の弟(赤ちゃんなのに素晴らしい演技力だと思いました)など、サイドの人物達もハッキリとしたキャラクターで、作品にメリハリを与えてくれていました。

学校という狭い世界には、多くの見えないルールがあったりしますが、成長するにつれて、それはそんなに大事なものじゃなかったと気付くことも多いです。

なにが本当に大事なものなのか、グレッグ君の性格の悪さにドン引きしながらも、気軽に笑いながら考える機会をくれる作品かなと感じました。お子様のいる方は一緒に見てみると良いかもしれません。

続編もあるそうなので、機会があれば見てみようと思います。