アラサーニートの雑記帖

アラサーニートが感じたことや日々の出来事などを綴る雑記ブログです。

大好きな映画『花とアリス』を紹介します!

今日はずーっとブログのネタが思い浮かばすに午後になり、頭真っ白で焦っていました。作家や漫画家の先生たちってこんな感じなんでしょうね(おこがましい)。

そうこうしている内に、ふと、以前ブログで『花とアリス』について詳しく紹介する記事を書く!と言っていたことを思い出しました。

(ちなみにそのときの記事はこれでした。)

zakkicho.hatenadiary.com

というわけで、今回は私が大好きな映画『花とアリス』を紹介させてください。

 

花とアリス』(2004年 / 日本)

『Love Letter』や『スワロウテイル』で知られる岩井俊二監督による長編映画

前年にキットカットの発売30周年記念としてWEBで公開されていた同タイトルの短編映画をもとにして作成されている。

高校生の花とアリスの友情と初恋の繊細な季節を、美しい音楽と映像で綴る、ちょっと不思議な青春映画です。

花とアリス 特別版 [DVD]

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あらすじ

中学生のアリス(有栖川哲子)は、ある日電車内で高校生に一目惚れし、親友の花(荒井花)を強引に誘い出して彼をこっそり尾行する。そのうちに花はその高校生の友達である宮本に恋をしてしまい、アリスの熱が冷めた後も、ひっそりと宮本を尾行する毎日を送っていた。

中学を卒業し、宮本と同じ高校に進学した二人。花は宮本と同じ落語研究会へ入部し、ある帰り道、尾行していた宮本がシャッターに激突して意識朦朧となったのを良いことに、自分が宮本の彼女であると勘違いさせることに成功する。一方アリスは、スカウトされたことをきっかけに、オーディションに通っては落とされる日々を送っていた。

あるとき、花の長年の隠し撮り写真の存在が宮本にばれ、それをごまかすために元カノのアリスが送りつけてきたと嘘をつく。嘘を補強するために、アリスは嘘の元カノ役を引き受け協力するも、そのことで宮本はアリスに惹かれてしまい、3人は三角関係となってしまう。

 

花とアリス』の魅力

本当に本当に大好きな作品で、何度も見返しています。

トーリー、映像、音楽。全てが素晴らしくて、まだ見たことのない方にはぜひ!見て欲しいです!!

魅力だらけの作品なので、いくつかにわけて紹介します。

 

少し不思議な世界観

まず、この作品の魅力はなんといってもその世界観かなと思います。

普通に高校生の友情や恋愛を描いているのですが、なぜだか非日常的な空気を纏っています。

1つには、気絶した宮本を記憶喪失に仕立てあげるという、いやいや、と思ってしまうようなストーリーが、この物語を少し現実から遠ざけています。しかし、そんなのすぐばれるでしょ、と思いながらも、作中では違和感なくその世界にひたることができます。

宮本とのデート中、手を洗っている最中に水が出なくなり、泡だらけの手のままでデートを続行する花など、ちょっとしたエピソードも、少しずつ現実からの浮遊感をもたらします。

また、その美しい映像も、この作品を夢のように非現実的に見せます。

特に雨の中やスタジオでのアリスのバレエシーンや、アリスと宮本のデートシーン、また、花・アリス・宮本の三人で浜辺でトランプをするシーンなど、はっとするほど美しい映像が散りばめられています。

冒頭の電車内やバレエ教室などの日常のシーンも静かに美しく、当たり前でありながら、やはりどこか現実味を欠く映像に仕上がっていると思います。

私の好きなお笑いコンビ「ラーメンズ」の「非日常の中の日常を描く」という言葉を知ったとき、あ、『花とアリス』もこれだ、と思いました。

私の知っている日常とは少し違う場所を日常として生きる人たちがいて、その人たちの日常を見ているんだな、となんとなく感じるような、少し不思議な雰囲気を纏った映画です。

 

繊細でリアルな描写

この作品には、基本的に悪い人は登場しません。

みんな優しくて、すれ違いはあるけれど、安心して見ていられます。

花とアリス、花と宮本、アリスと宮本、アリスと父親花とアリスとその友達。

色んな関係性が描かれますが、全てふんわりとした優しさがあります。

ただ、それで甘いだけの作品にはなっていません。

ぼかした優しさがあるわけではなく、人物の心情を丁寧に描き出し、繊細な心の動きを捉えています。

花とアリスと宮本の関係性ではもちろんなのですが、中でも、アリスと父親のシーンが私は好きでです。

アリスの両親は離婚していて、アリスは母親と一緒に暮らしています。

そして父親とはたまに二人でデートします。

はじめはぎこちない二人ですが、だんだんと慣れて、楽しく過ごします。

別れ際に父親に、教わったばかりの「ウォーアイニー」という言葉を投げかけます。

デート中はずっと、高校生の娘らしい少しクールな様子で話していたアリスが、父親に向けて「愛している」と伝えるこのシーンは、作中でも屈指の名場面の1つだと思っています。

非日常感があると、前段では書きましたが、それはあくまでも世界観の話で、ディテールや心情の描写の面は、本当に繊細で緻密に描かれている作品だと思います。

 

役者たちの熱演

この映画では、主役の花とアリスにそれぞれ鈴木杏蒼井優、三角関係のお相手宮本に郭智博を起用しています。

他にもアリスの父に平泉成、バレエ教室の先生に木村多江など、演技派の俳優さんたちが多く出演し、みなさんとても良い演技を見せてくれています。

特に、花、アリス、宮本の三人は、自然な青春の雰囲気を壊さずに、ファンタジー的な非現実感をうまく引き受けた演技で、本当に素晴らしいと思います。

一見荒唐無稽に見えるようなシーンでも、リアルな空気を失わずにいたのは、この三人の熱演あってこそではないかと感じました。

鈴木杏さんの花は、ちょっと偏執的で、でも一途で一生懸命な女の子をよく表現していて、特に最後に文化祭の舞台袖で泣きながら告白するシーンは、見ているだけでこちらまで胸が痛くなるようで、本当に素晴らしかったです。

蒼井優さんのアリスは、明るくさばけて、しっかり者で、それでいながら胸の奥に寂しさを抱える様子が伝わってきました。また、バレエシーンも美しく、私はこの映画で蒼井優さんのファンになりました。

郭智宏さんの宮本。ちょっと頼りない、変わり者の男の子で、難しい役柄だったのではないかなと思うのですが、若干漫画的なそのキャラクターを現実感のあるものに仕上げていたなと感じました。

 

素朴で美しい音楽

最後に、この作品は音楽も素敵です。

静かで素朴ながらも少しくせのあるメロディーが、作品をさらに鮮やかにしています。

ちなみに、全ての曲を岩井監督ご自身で作曲されたそうです。すごい。

今まで映画を見て、歌なしの楽曲でここまで音楽の印象が強い作品はなかったので、ご覧になるときは、ぜひ音楽にも注目してみてください。

オリジナルサウンドトラック H&A

オリジナルサウンドトラック H&A

 

 

 

花とアリス』、本当に素晴らしい作品です。

この記事でその素晴らしさが少しでも伝わっていると嬉しいのですが。

私の中で間違いなくNO.1に好きな映画なので、これを読んで興味を持ってくださった方がいれば、ぜひ見てみてください!

好きなものの紹介を書くのは楽しいですね。ついつい長くなってしまいました(笑)

また別の映画や小説なども紹介していけたらなと思います。