アラサーニートの雑記帖

アラサーニートが感じたことや日々の出来事などを綴る雑記ブログです。

【今週のお題】テストでの出会い

7月ですね。夏がきてますね。ワクワクします。

夏の空気ってなんだか子供の頃や学校での出来事をよく思い出せてくれるように感じます。夏休みのイメージが強いからでしょうか。

さて、今日はそんな感じでまだ若かりし頃を思い出しながら、今週のお題で書いてみたいと思います。

 

今週のお題「テスト」

今週のお題は「テスト」。

テストと言えば学校だよな。思い出とか書けばいいのかな、と思って書くことを考えていたのですが、思えば社会人になってからも資格試験みたいなの受けたりしますよね。

でも、私の勝手なイメージとして、高校までは「テスト」、大学以降は「試験」って感じがします。なぜでしょう。皆さんはいかがですか?

とりあえず私は私のイメージに素直に従って、高校までのテストを思い出してみました。

めちゃくちゃ勉強した(つもりの)物理のテストがめちゃくちゃ悪くて落ち込んだこととか、一夜漬けで覚えて終わったら端から忘れてしまうため範囲指定のある期末などの成績は良かったのに、模試ではひどい点数をとっていた歴史のテストの話でも書こうかな、なんて思ったりもしていたのですが、色々思い起こしているうちに、国語の現代文のテストが好きだったことを思い出しました。

 

好きだった国語・現代文のテスト

私は昔から本を読むのが好きだったので、国語は好きな教科でした。

テストに関しても、国語なら特別な勉強をせずとも、そこそこ良い点数をキープできていました。

(ただし現代文に限る。古文・漢文は勉強不足でした。でも、古文はともかく、漢文ってもう外国語みたいなもんじゃないですかね。国語に含まれているのがずっと疑問でした。)

そんな風にあまりストレスなく受けられる国語のテストは、緊張しっぱなしのテスト期間の中で、私にとって癒しの存在でした。

中でも小説問題は楽しかったです。

大抵は、時間節約のために先に設問にざっと目を通して、関係のありそうなところに注意しつつ本文を読むのですが、選ばれている小説があまりに面白いときは、テスト中にも関わらず、設問のことも忘れて純粋に楽しんで読んでしまうことがありました。

幸運にもそういう問題と出会えたときは、作者名と作品名を覚えておいて、すぐに図書館や本屋さんで探していました。

 

鷺沢 萠『ウェルカム・ホーム!』との出会い

そんな出会いの中でも特に強く印象に残っているのが、高校のテストで出題された鷺沢萠さんの『ウェルカム・ホーム!』。

テストではもちろん、一部分だけが抜粋されて出題されているのですが、その部分を読んだだけで、面白い。そして有り体に言えば感動しました。

正直、テストなどもうほとんど上の空で、この作品の続きを読みたい、読みたい!とそのことばかりを考えていました。

そのときのテストは学校の定期テストで、先生方が独自に問題を作成されたものでした。

あまりに心動かされた私は、その問題を作成された先生を確認して、わざわざ感想を述べに行きました。

「先生、今回出題されていた小説すごく素敵でした!!」

私の学年には国語の担当教師が2名いらっしゃり、この問題を作成されたのは私が授業を受けたことがない先生でした。そこまで話したこともないにも関わらず、突然の生徒の押しかけにも優しく対応してくださいました。

「そうでしょう。『ウェルカム・ホーム!』という作品です。良かったら貸しますよ。」

そう言って、私物の文庫本を貸してくださいました。とても嬉しかったのを覚えています。

(先生が敬語のせいで若干少女マンガっぽい雰囲気になってしまいましたが、どんな人にも敬語で話す穏やかな先生でした。)

 

『ウェルカム・ホーム!』

せっかくなので、テスト中の私の心を鷲掴みにした『ウェルカム・ホーム!』の紹介を。

鷺沢萠さん(さぎさわ「めぐむ」さんと読みます。最初「もえ」さんだと思っていました。「めぐみ」じゃなくて「めぐむ」なのがなんかカッコいい。)による作品で、いわゆる「フツー」ではない家族の姿を描いた中篇『渡辺毅のウェルカム・ホーム』と『小島律子のウェルカム・ホーム』の2篇を収録しています。

テストに出題されていたのは1篇目の『渡辺毅のウェルカム・ホーム』でした。

これは、テキトーな生き方をして色々失ってしまった元シェフの渡辺毅が、シングルファーザーをする親友の家で、子育てや家事をして暮らす、その「家族」模様を描いた作品です。

主人公・毅と親友のヒデ、そしてその息子のノリ、という世間的には歪な3人家族ですが、それぞれの葛藤を抱えながらも、お互いが優しさを持って、本当に温かい素敵な家族関係を築いています。

2篇目の『小島律子のウェルカム・ホーム』では、仕事は順調、でも私生活では「なにもない」、バツ2の児島律子と、2度目の夫の連れ子だった聖奈との数年ぶりの再会が描かれています。

愛情を持って育てていた娘、でも連れ子だったために離れなければならなくなった娘への想い。そしてそんな娘から育ての親である律子への想い。全く血は繋がっていないけれど、「家族」として絆を繋いだ二人の姿に心動かされます。

どちらの家族も、「フツー」ではないけれど、それぞれの繋がりの温かさを見せてくれます。

「フツー」とは?「家族」とは?そんな普遍的な問いに、優しくこたえる作品だと想います。

私も何度も読み返している、本当に素晴らしい作品なので、ぜひ読んでみてください!!

ウェルカム・ホーム! (新潮文庫)

ウェルカム・ホーム! (新潮文庫)

 

 

作家との出会い

テストで出会った『ウェルカム・ホーム!』ですが、これは私にとって、作家・鷺沢萠との出会いでもありました。

『ウェルカム・ホーム!』に深く感動した私は、鷺沢さんの作品をもっと読みたい!と思い、図書館や書店で探して読むようになりました。

好きな作家と出会う、というのは、私の人生においてとても幸せなことのひとつです。

私の中にひとつ、新しい世界が広がるような、そんな幸せです。

知っている作家の知らない作品は意識して手に取る可能性がありますが、自分の知らない作家とは偶然出会うところからしか始まらないので、テストや教科書で出会いの機会をもらえていたことは、本当に幸福なことだったなと今になって思います。

 

 

テストから小説のことにだいぶ話がシフトしてしまいましたが、あの頃テストでさえも、私に幸せを運んでくれていたのだと思い出して、なんだか勝手にちょっと切なくなってしまいました(笑)

なんで学校の思い出ってこんなに綺麗に見えるんでしょうね。

大勢の生徒たちがちょっと緊張して座る、静かで煩いあの教室の雰囲気を味わうことはもう一生ないんだな、と感傷にひたる「今週のお題」でした。