【今週のお題】怪談で涼むような時代じゃない
夏と言えば、海や花火や麦わら帽子にアイスクリーム、そしてなぜか怖い話。
夏は暑いから怖い話を聞いて涼しくなろう、というのは一体どういう発想なのでしょうか。クーラーが普及した現代ではもう必要ないんじゃないですかね・・・。
それでもやっぱり夏場になれば、テレビでは稲川淳二さんが「おかしいなぁ、おかしいなぁ」と人の良さそうな顔で皆に恐怖を振りまいています。
さて、今回はそんな夏の風物詩に関するお題に挑戦します。
今週のお題「ちょっとコワい話」
私は昔から幽霊とか怪談とかがすごく苦手で、友達複数人で行った遊園地でも一人だけ頑なにお化け屋敷への入場を断って外で待っていたり、どーーーしても断りきれずに入ることになっても、見ない・聞かないを徹底して全く楽しめないタイプの人です。
映画は好きですが、ホラー映画は好みません。ビビりすぎてストーリーに集中できないからです。
でもなぜか小説や漫画だと怖いなと思いながらも読み進めちゃったりして、後々かなり後悔します(笑)
そんな超ビビりな私が体験した「ちょっとコワい話」を2つご紹介します・・・。
待っているキッチン
会社を辞めて実家に戻ってからしばらく経ったある日のこと。
その日は母と二人で出先から遅くに帰ってきました。
玄関で靴を脱いでいると、先に中に入っていた母がこんなことを言いました。
「またキッチンの電気点いてる・・・。」
「消し忘れただけじゃないの?」と流す私。
「いや、絶対に消して行った」と母は主張します。
そして、「それに、今回だけじゃなくて、ここ何日か毎日のように消したはずなのに帰ったら点いている」と言い出しました。
しかし、母は普段勘違いをしていることも多いので、この時はどうせ消し忘れだろうと思っていました。
また、点いていたのがシステムキッチンの一角にある、手をかざしてスイッチをオンオフするタイプの電灯だったため、母の消し忘れでないとしても、もしかしたら虫かなにかがセンサーに反応しているのかもとも考えました。
ただ、今回だけではないというので、怖がりの私は内心恐怖を感じ始めていました。
それから数日後、私は一人で出先から帰宅しました。
その日は他の家族はまだ誰も帰っておらず、家は真っ暗でした。・・・一ヶ所を除いて。
キッチンの例の電灯が点いていたのです。
私は、母から話を聞いてから、出掛けにそれとなくキッチンの電気が消されているかを確認するようになっていました。
この日もきちんと消灯されているのを確認して家を出ました。私が一番最後に出たので、その後誰かが点けた可能性はありません。
私は鼓動が速くなるのを感じました。
暗闇にぼんやり浮かぶキッチンの一角が怖くて、とりあえずスイッチが近くにあるものから順番に、手当たり次第電気を点けていきました。
家全体が明るくなると、やっと少し落ち着いた私は、恐怖心を抱えつつも、念のため家中を見てまわりました。もちろんキッチンも。
誰もいませんし、変わったことは何もありませんでした。
結局今でも、原因はわからないままです。
もしかしたら、遅い時間に帰ってくる私たちのことを早くに亡くなった祖父や祖母が、灯りをともして待っていてくれたのかもしれません。
真夜中のチャイム
私がまだ働いていた頃、マンションに一人暮らしをしていました。
ある夜、0時頃にベッドに入り、スマホを触りながらウトウトしていると、インターホンの音がしました。
こんな時間になんだろうと思ってびっくりしましたが、オートロックのマンションで、以前鍵を忘れた住人から開けるよう頼まれたこともあったので、そういう類かなと思って落ち着くことにしました。
チャイムの音で、エントランスからなのか、玄関先からなのかがわかるようになっており、その時はエントランスからだったので、ちょっとドキドキしながらも、とりあえずそのまま無視して寝ることに。
またウトウトし始めた頃、再度インターホンが鳴りました。
今度ははっきりと恐怖を感じました。
玄関のチャイムだったからです。
一瞬で目が覚めて、心臓が強く打ち始めます。
どうしよう。無視するしかないけど。どうしよう。怖い。
ベッドの中で身体を硬くしながら、とめどなく考え続けます。
どうしよう。どうしよう。どうしよう。
物音を立てて、部屋にいること、起きていることがばれるとまずいかもしれない。
なぜかそんな風に思って、ひたすら恐怖に耐えていました。
そうこうしている内に、またチャイムが鳴らされます。
・・・ピーン、ポーン。
・・・。
・・・・・・ピンポーン。ピンポン。ピンポン。
あまりの恐怖で思考停止に陥っていた私は、とにかく動いちゃダメだと思い込んでいて、身じろぎもせずチャイムの音を聞き続けました。
しばらくそうやって耐えていると、チャイムは止みました。
心臓がバクバクしているのが分かりました。
5分ほど無音の状態が続き、私は緊張を解き始めていました。
ピロリピロリピロリ。
エントランスのチャイムの音で、また心臓がギュッと縮みます。
ピロリピロリピロリ。
でも、エントランスだから大丈夫。部屋から遠いし。
誰かがイタズラに飽きて、帰り際、最後にもう一回鳴らしてるだけだ。
必死で自分にそう言い聞かせます。大丈夫。大丈夫。
エントランスのチャイムは、2、3回立て続けに鳴らされた後、静かになりました。
・・・さすがにもう帰ったよね?もう寝よう。
警戒しつつも目を閉じたその時。
ピンポーン!
ドン!ドンドン!ドンドン!!!
もう嫌だ。どうしよう。怖い。怖い。怖い。どうしよう。
ドンドン!ドンドンドン!!
泣きそうでした。完全にパニックになっていました。
でも身体は金縛りのように動きません。
恐怖でフリーズしてしまった私は、身じろぎもせずに天井を見つめていました。
そうして繰り返されるノックの音を聞き続けるうちに、ほんの少しだけ冷静になってきた私は、警察を呼ぼうか、とやっと考え始めました。
スマホを手に取り少し思案していると、静かになったことに気がつきました。
・・・。・・・。・・・・・・。
・・・・・・終わった?
それまでの度々の再襲撃にすっかりおびえきっていた私は、疑心暗鬼のまま静寂に神経をとがらせます。
気付けば30分ほどが経っていました。
私はやっと動けるようになりました。
ベッドから抜け出し、とりあえず部屋の電気を点けます。
暗いのが怖かったからです。
そうして、その日は灯りをつけたまま、浅い眠りを繰り返して朝を迎えました。
結局、誰だったのか、何が目的だったのか、わかりません。
一人暮らしで怖かったことはいくつかありますが、あの部屋で過ごした10年の間で、一番怖かった出来事でした。
今思えば、玄関チャイムを連打されたあたりで警察に連絡すれば良かったです。
オチもなにもないですが、2つ目は一人暮らしの恐怖体験をお届けしました。
いかがでしたでしょうか?
1つ目は心霊?系、2つ目は日常で怖かった話を書いてみました。
せっかくなのでちょっと怪談風に書いてみたのですが、なかなか難しいですね。稲川さんはやっぱりすごいです。
ところで、1つ目を書いているときに家鳴りがし始めてちょっとコワかったのですが、関係ないですよね?大丈夫ですよね?
もし実家になにかいるとしても、ご先祖様が見守ってくれてるんだと思うようにしています。これからも見守ってね、おじいちゃん。おばあちゃん。できればあんまり怖がらせないでもらえると嬉しいな。