【漫画】吉住 渉『ハンサムな彼女』を思い出と共に紹介します
ブログを書くようになって、映画や小説、日用品などのレビューや紹介などを書いてきたのですが、そういえば漫画について書いたことないなーというわけで、書いてみることにしました。
大人になって買い集めている漫画もあるのですが、数が少ない上にまだ連載中だったりするので、一旦、原点である子供の頃に戻って、今回は吉住渉さんの『ハンサムな彼女』を紹介したいと思います。
吉住 渉『ハンサムな彼女』
『ママレード・ボーイ』『ミントな僕ら』などで知られる吉住渉さんの作品。
少女漫画雑誌「りぼん」で1988年~1992年まで連載されていた、芸能界を舞台にした青春漫画です。
あらすじ
萩原未央は四ツ葉学園芸能科に籍を置く中学生女優。
幼馴染の俳優・森本輝臣への恋心から同じ芸能界での仕事をしている未央だったが、ある日、未央や親友でアイドル歌手の沢木彩、そして輝臣も出演する学園ドラマに同い年で映画監督志望、アメリカ留学帰りの熊谷一哉が演出家として参加することになり、一哉から一人だけ厳しく演技指導を受け反発を覚える。
しかし、「女優」である未央への真摯な態度と理解し、自分の腰掛け的な態度を反省。今まで以上に真剣に女優の仕事に取り組み、一哉とも距離を縮めていく。
『ハンサムな彼女』の思い出や魅力
私は漫画雑誌は「りぼん」派で、当時リアルタイムでは小花美穂さんの『こどものおもちゃ』や種村有菜さんの『神風怪盗ジャンヌ』などが連載されていました。
吉住さんの作品では『ミントな僕ら』が連載中だったかと思います。
吉住渉さんといえば、やはり『ママレード・ボーイ』が有名で、私もコミックスを全巻持っていました。
そして、たしかその『ママレード・ボーイ』のコミックス内の販促ページかなにかで『ハンサムな彼女』の存在を知り、コミックス購入に至りました。
芸能界や女優の世界への憧れと現実
この作品は、ヒロインは女優、中心人物はみんなアイドルや俳優、演出家などばかりで、華やかな芸能界を舞台にしています。
学園生活も芸能科のある学校という特殊な環境が描かれ、そのキラキラした特別な世界に多くの少女たちが魅了されたのではないかと思います。
よく少女漫画にありがちな、美人で可愛いくせに「冴えない普通の女の子☆」みたいな矛盾もなく(笑)、みんな芸能人だし、そりゃみんな美男美女だぜ、って感じです。
そうしたキラキラ感もありながら、ただ「芸能界キラキラ☆」という感じでは終わらず、それぞれの仕事への向き合い方や苦悩などの描写が丁寧に行われていたのが、この作品に深みを持たせ、多くのファンを生み出していたのかなと思います。
「ハンサム」な彼女のかっこよさ
中学生くらいの私にとって、「ハンサム」という言葉は単に「かっこいい男性」を示す言葉でしかなかったので、それを女性に使うそのこと自体が、抜群にかっこよく感じられました。
そして、芸能界という大人の世界で仕事を持つヒロインたちや、初めてのデート(?)で古い映画を見に行くという大人びた描写が、この作品自体を「ハンサム」な印象にしていました。
作中での「ハンサムな彼女」のイメージはマレーネ・ディートリヒという昔の女優さんで、甘い魅力を持つマリリン・モンローなどが「チーズケーキ」と呼ばれるのに対して、マレーネ・ディートリヒのような女性は「ハンサム」だと一哉は言います。
前述した古い映画は、このマレーネ・ディートリヒの半生を描いたドキュメンタリー作品『マレーネ』。
当時はよくわからないまま、ふんふんと読み進めていたのですが、せっかくのなので、この『マレーネ』や他の出演作品なども見てみたいです。
中高生向きの少女漫画のアイコンの1つとして、中高生は知らないような古い名女優を出すというのも、なかなか渋くてかっこいいですよね。
そして、もちろんヒロイン未央自身も、容姿・性格ともに、「ハンサム」に描かれていて、読みながら憧れていたものです。
男の子たちの魅力
『ハンサムな彼女』では女性もそうですが、男性たちもハンサムで魅力的です。
メインの一哉、そして一哉の親友でカメラマンの可児くん、アイドルグループのメンバー篤紀、一哉に恨みを持つバンドマンの聖(ちなみにこのバンドの名前が「トラフィック・ジャム」で、当時その響きや交通渋滞という意味合いもなんとなくかっこいい!と思い、今でもIDなどに使用しています(笑))など、それぞれが自分の夢や仕事に一生懸命で、若くして信念を持って行動する子ばかりです。そして、みんな癖はあるものの優しい。
私は特に可児くんがお気に入りでした。関西弁なのも良かった。
可児くんに出会って、その後しばらく関西弁フェチみたいになってました(笑)
色々なタイプの魅力的な男の子に好かれて大変!みたいなのは少女漫画の醍醐味の1つですが、後の『ママレード・ボーイ』などを見ても、吉住さんは魅力的な男性を描くのが上手いなと感じます。
それぞれとのエピソードや心理描写が丁寧に描かれているので、ヒロインや男の子たち一人ひとりに共感できるのがとても良いなと思います。
『ハンサムな彼女』は、中学生くらいの私には大人びた、ハンサムな漫画でした。
作りこまれたストーリーや丁寧な描写で、大人でも楽しめる作品だと思います。
今度はマレーネ・ディートリヒのことも少し勉強して、もう一度読み返してみます!
久々に思い出すと、昔買った漫画もまたどんどん読み返したくなりますね(笑)
大人になった今、どんな世界を見せてくれるのか楽しみです。