アラサーニートの雑記帖

アラサーニートが感じたことや日々の出来事などを綴る雑記ブログです。

【映画】『22年目の告白 ー私が殺人犯ですー』を見ました(ネタバレ注意!!)

今日はせっかくの土曜日ということで、仕事が休みの母に誘われて、映画を見に行ってきました。

母は最初、今日公開の『ジーサンズ はじめての強盗』というモーガン・フリーマン主演の洋画を見たがっていたのですが、どうやら私の住む地域ではまだ公開されていないらしく諦めました。面白そうなので機会があれば次は見に行きたいです。

次の候補として、『パトリオット・デイ』か『22年目の告白 ー私が殺人犯ですー』で迷ったのですが、先に『22年目の告白』を見ていた弟がオススメしてきたのでそちらを見に行ってみることにしました。

 

22年目の告白 ー私が殺人犯ですー(2017年 / 日本)

2012年に公開されヒットした韓国映画『殺人の告白』をリメイクした作品。

残虐な連続殺人の犯人が、時効成立後に名乗り出たところから始まるアクションスリラー映画で、6/10の公開以来、2週連続興行成績1位を獲得している。

wwws.warnerbros.co.jp

 

あらすじ

2017年、22年前の1995年に起きた、5名もの命を奪った残虐な連続絞殺事件が未解決のまま時効を迎えた。時効成立後のある日、その事件の犯人だという男が告白本を出版し、突然名乗り出た。男は名前も顔も晒して露出を高めていき、握手会まで開かれ、世間は騒然となる。憤る遺族や捜査員たち、熱狂するマスコミや群集。賛否両論の渦の中、終わったはずの事件がまた動き始める。

 

感想

まず、映画としては面白かったのですが、最初の犯人からの告白のシーンでの殺害シーンが重すぎて気持ち的に結構沈んでしまい、それを最後の方まで引っ張ってしまいました。

「すべての国民が、この男に狂わされる。」というキャッチコピーや、予告編などで匂わされていたどんでん返しに関しては、話も練られていて感心しましたし、素直に面白かったです。

役者さんたちも皆さん熱演されていて、見ごたえがありました。

 

※ここから先はネタバレを含みます。この映画に関しては、ネタバレしてしまうとかなり楽しみが減ってしまいますので、行間をあけておきます。ネタバレOKな方だけ、スクロールしてお進みください。

(スクロール中は、我が家の愛犬さくらの写真をお楽しみください。)

f:id:traffic_jam:20170624235637j:plain

f:id:traffic_jam:20170624235612j:plain

f:id:traffic_jam:20170624235658j:plain

 

この先ネタバレ注意!!

 

22年前の事件

まず、物語のキーとなる、時効をむかえた事件ですが、基本的に1件につき「殺される者(被害者)」と「被害者が殺されるのを見せ付けられる者(目撃者)」の二人ペアで襲われます。二人とも縄で椅子などに縛り付けられ、犯人は被害者を後ろから絞殺します。目撃者は、家族や恋人など被害者に近しい人物で、大事な人が殺されるのをなにもできずに見つめ続けることになります。

相当に胸糞悪いです。役者さんたちのリアルな演技もあり、本当に気持ちが沈みます。

犯人への嫌悪感が最高潮まで高まるので、今後の展開を考えると、この設定はそういう意味では大成功だと思います。

 

犯人・曽根崎の告白とフィーバー

前述の通りの悪趣味極まりない事件の犯人として、曽根崎という男が告白本の出版と共に名乗り出るのですが、最初に記者会見を開きます。この記者会見の演出がかなり秀逸だなと感じました。

プロジェクションマッピングなどをバックに自らの告白本を朗読するという、テレビ番組や舞台のようなおしゃれで洗練された演出で記者会見を行います。

この悪びれない華やかなおしゃれ記者会見のシーンの合間合間に、前述した事件の回想シーンが挟まれます。正直見ていて辛かったです。

冒頭から、映画を見ている観客の曽根崎への嫌悪感はかなりのものになると思います。

そして、曽根崎はこのおしゃれ会見を皮切りに、動画投稿サイトでインタビューを受けたり、果ては握手会まで開いてしまいます。

告白の話題性による熱狂と、批判や興味、また曽根崎の外見やある種のカリスマ性にひきつけられた「ファン」の出現など、フィーバー状態に。

このあたりは市橋達也容疑者のファン騒動や、酒鬼薔薇聖人の手記発売などを連想されられました。製作側も意識して作っているのではないかと思います。

ただ、告白本が売れるのは理解できるのですが、あれだけの事件を起こした犯人を相手に、握手会など直接対面の場であそこまで人が集まってきゃーきゃー騒ぐものなのかというのは疑問を感じました。

もちろん熱狂する人や、実際に会いに行く人もいるにはいるでしょうが、あんなにも開けっぴろげに、あんな人数が集まるのかと考えると、現実はもう少しおとなしいものではないかと思います。(そうであってほしいという希望もあります。)

このあたりまでは、凶悪犯への嫌悪感と、群集の無責任さや心無い振る舞いへの怒りのような感情が引き出され、それにプラスして、犯人・曽根崎が何をしたいのか見えてこないドキドキ感があり、気分は悪いながらも映画としてはとても面白かったです。

 

意外性に注力しすぎてしまったのかも

時効を過ぎた事件で犯人が名乗り出て、それによる波紋が幾重にも広がるという構図は考えさせられるものがあり、面白く見ていたのですが、後半にかけての展開は、ちょっと「意外性」「どんでん返し」というところに製作側の気持ちが傾きすぎてしまったのかなと感じました。

犯人と名乗り出た曽根崎が犯人ではなかった。さらに真犯人として名乗り出た人物が替え玉だった。ここまでは、段々とストーリーが見えてきたこともあり、どんでん返しとしても綺麗に決まっていたと思うのですが、最後の最後、その犯人をキャスターの仙堂にしてしまったのは、なんというかちょっと興醒めしてしまう部分がありました。

キャスター・仙堂は戦場にも取材に赴く、使命感の強い元フリージャーナリストで、22年前の事件も精力的に取材をしていたこともあり、曽根崎フィーバーの中、曽根崎を初のテレビ生出演にむかえます。

番組の中でも鋭く以前の取材内容を活かし、鋭く切り込んでいく仙堂ですが、実は、戦場取材中に友人のジャーナリストと共に拉致され、目の前で友人を殺害され、自分と同じ立場の人間を増やすため、残虐な殺人を犯していた犯人だったのです。

意外性という意味では確かに意外ではあったのですが、それはなんというか、お話の外から急にやってきたような、私としては少ししっくり来ない感じがしてしまいました。

真犯人として名乗り出た替え玉を前に、自分たちの手の内を全て見せてしまった時点で、曽根崎たちはかなり不利に回り、一旦振り出しでかなり苦しい展開になるのかなと思っていたのですが、そこからはなぜか仙堂が一方的に追い詰められる状況になったことも、ちょっと違和感がありました。

前半の様々な描写が丁寧だっただけに、後半はちょっと雑でご都合主義な印象が強くなってしまったのが残念です。

 

 

全体としては、スピーディーな展開で、飽きずに見ることができました。

最初の重さと最後の突っ走り感が少しバランスを崩してしまっていたかなとも思いますが、驚きを楽しむエンターテイメントとしては良い作品だったなと思います。

 

【おまけ】小説版

こちらの映画は小説版があるようです。

映画内で曽根崎の告白本出版に尽力し、曽根崎の秘書のような役割も果たしていた出版社の女性・川北の視点で描かれており、映画とはまた違った視点で楽しめるようです。

この出版社の女性に関しては、映画内でもっと言及されるかなと思っていたのですが、結局最後の方は完全にフェードアウトしてしまい気になっていたので、小説版も読んでみたいと思います!

22年目の告白-私が殺人犯です-

22年目の告白-私が殺人犯です-